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その34

「船よ、船が近づいてるんやわ」
 リエが震えた声で言いながら、浩也のフリースを掴んだ。

「そんなあほな、あのかがり火が隠れるっちゅうたら何百トン、いや何千トンもあるほどのよっぽどでかい船やないと隠れんどぉ。だいたい音が全然きこえんやっしょ」
 勇一がリエにくってかかる。

 リエも勇一も言っていることは正しい。
 かがり火の点滅はそれ意外に説明がつかない。

 だが、二人の話を両立させる巨大な船が明かりもつけずに夜航行などするはずはない。 密漁目的にしても船が大きすぎる。
 一体なんなんだ?

 神無月から暗雲が流れて切れた。うっすらと海上が煌めく。

「きゃーっ」
 リエが悲鳴を上げて浩也にしがみつく。

 リエは、ただ小刻みに身体を震わせ言葉を発しない。浩也は辺りを見回した。

 えっ。

 縦に伸びる細い一本の線がくっきりと見える。
 それは電信柱が暗い海の中で建って揺らいでいるようだ。

「な、なんなんやっしょあれ。ば、化けもんかっ」
 勇一が慌てて足下を探り始めた。

「ハッカーどこいったハッカー」
 勇一が狼狽える。

「確か艫に」
 リエにしがみつかれ動きの取れない浩也が言う。勇一は素早く船尾に移動すると長い竹のハッカーを槍のように持ち構えた。

「の、呪いなんかあるはずねえんじゃ」
 勇一は大きく息を吐いた。

 電信柱のようなものは、揺らぎながらこちらに近づいてくる。音は全く聞こえない。

 浩也は気がどうにかなりそうだった。

 と、再び暗雲が神無月を覆った。漆黒の闇が再び周囲を覆う。電信柱のような化け物の姿が消えた。隆栄丸はひたすら姿を隠すように静まり続ける。

 エンジンをかけた瞬間、見つかって一飲みされるのではないのか。あらぬ想像で浩也の恐怖心はつのるばかりだ。

 勇一も同様なのかエンジンをかけて逃げることをしない。リエはただしゃがんで震えているだけだ。

「親父の敵うったる」
 押し殺した声で勇一が言った時、暗闇の向こうでヒューッと風を切る音がした。
 それは上空の方から聞こえたようだった。

  隆栄丸を今までにはない大きな波が押し上げる。

 近くに何かがいる。

 規則的な押し波で二、三度船が隆起した時、浩也の目前に見上げるほどの白い鉄柱が降りかかってきた。

やっぱり鮎釣り師だからなぁ。もうしばらく釣りカテゴにいさせてください。confident

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2008101903

ガバチャのひとり言wink

今日は月1の通院の日。正月以降けっこう飲み食いしたので血糖値あがってるはず。また、女医先生にしかられるよ~shock

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